やが君 考察

やがて君になる (アニメ)の考察ブログです!

やがて君になる 8話 考察 感想

この記事は、やがて君になる8話の考察です。今回も紫陽花の演出などは色々な解釈ができると思うので、こんな考え方もあるんだと思っていただければ幸いです。(※アニメのネタバレ有です!アニメ最新話までの内容を含むので、未視聴の方は先に視聴することを強くお勧めします。)

 

紫陽花の色と3つの問いかけ

8話では、紫陽花アジサイ)による演出が特徴的でした。ピンク、白と場面ごとに異なる色が登場します。この紫陽花の色の示しているものについては、様々な解釈ができると思います。

これは筆者の解釈ですが、紫陽花の色はそれぞれ燈子、侑、沙弥香を示していると感じました。が燈子、ピンクが侑、白が沙弥香です。また、8話では燈子が沙弥香に、沙弥香が侑に、侑が燈子にそれぞれ好きな紫陽花の色について問いかけます。この時の2人の組み合わせによって紫陽花の色が異なっているので、それぞれのシーンを見ていきます。

 

燈子から沙弥香への問いかけ

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

このシーンでは燈子が沙弥香に好きな紫陽花の色を問いかけています。紫陽花の色は、白ですね。これは青が燈子、白が沙弥香を示していると思います。燈子の問いかけに対する沙弥香の答えは意図的に描写されていませんが、筆者は(燈子)と答えたのではないかと思いました。理由の1つとしては、沙弥香が着ているワンピースの色がであったことです。偶然ではないような気がします。

ちなみにこのあたりの解釈は、筆者がいつも楽しみに読ませていただいているゆっちーさんの記事と概ね同じですね。とても分かりやすく解説されています!

www.anime-kousatsu.com

 

沙弥香から侑への問いかけ

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

このシーンでは沙弥香が侑に問いかけています。紫陽花の色はピンク、白(黄色)ですね。白は黄色にも見えます。紫陽花の花言葉に黄色はなかったと思うのですが、OPでも黄色の紫陽花があったのでもしかするとやが君では黄色の紫陽花に独自の意味を持たせているのかもしれません。ひとまず筆者は初見ではピンクが侑、白が沙弥香と解釈しました。沙弥香からの問いかけに対する侑の答えはここでも描写されていませんが、筆者は(燈子)と答えたのではないかと思いました。

理由は2つあります。1つは第5話にあった侑の部屋での描写が挙げられます。燈子が「私は君じゃなきゃやだけど…」と不安を打ち明けるシーンがありましたが、この時侑は筆箱から青いシャープペンシルを取り出しています。これは、いくつかある筆記用具の中から青色(燈子)を選んでいることを示していたのかもしれません。その時の侑の言葉も燈子を選ぶことについて言及しているように思います。タイトル「続・選択問題」選択とはそういうことなのかもしれませんね。

2つ目の理由は、OPのイントロにおける紫陽花の花びらの描写です。ピンクが侑の手に、が燈子の手に落ちています。そして、よく見ると侑の手は青い花びら(燈子)を包み込むような描写になっています。これは、完璧を演じるプレッシャーに耐える燈子を支えることを示しているのではないでしょうか。

 

侑から燈子への問いかけ

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

このシーンでは侑が燈子に問いかけています。紫陽花の色はピンクです。この色もそれぞれピンクが侑、が燈子だと感じました。ただ、他の2つの問いかけと違って燈子は侑の問いに答えることなく眠ってしまいます。本来ならピンク(侑)と答えていそうなものですが、あえて眠っている描写にしたということが気になりました。

色々考えたのですが、筆者は燈子がずるいということを演出しているのかなと思いました。この後に続く侑の言葉は、「ほんと、七海先輩って…」ですが、こういう時に答えてくれない燈子ってずるいと思いました(笑)。侑の燈子に対する想いが徐々に強くなっており、侑は燈子にピンク(侑)が好きと言ってほしかったのではないかなと。


ただ、眠っている演出は紫陽花の色を他の解釈で捉えると違った考察になります。以下の引用はゆっちーさんの記事にあるmostigerさんのコメントの一部です。(mostigerさんはいつも鋭いコメントをされています!)

わたしは3色のあじさいはどれも燈子を指すと考えています。
そして、青色は現在の燈子の人物像、白色、ピンク色は沙弥香、侑がこれからの燈子にどのような人物になってほしいかを表していると思います。

 この解釈における侑から燈子への問いかけの意味は、侑が燈子に「あなたはどんな色に咲きたいですか」と質問していることになります。この場合の燈子の眠り(沈黙)を筆者なりに解釈すると、燈子の回答は「まだ自分が何色に咲きたいか分からない」というものになります。今は完璧な人物を演じ続けていますが、その先にどうなるのかまだ分からないということですね。これは8話で侑と沙弥香が話していたトピックでもあります。

 

手の描写による演出

8話では手による描写も特徴的です。場面によって様々な演出が登場します。

すべてを画像と共に紹介することは難しいですが、いくつか紹介します。まず、アバンで燈子を待っている沙弥香の髪の毛を触るシーン。これは沙弥香のくせですね、燈子が来るのはまだかな、まだかなという気持ちを表しているように思います。その後、過去の回想シーンにおける沙弥香の脱力感を示した手の動き。そして、先輩の言葉に対するいら立ちを示す右手の描写。このような心情を示した手の描写は繊細でやが君の魅力の1つだと思います。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

そして燈子と沙弥香が手をつなぐシーンです。今の私(沙弥香)には燈子がいるってことを見せつける行動です。この時の沙弥香は見ていて清々しいですね。ここの沙弥香の描写はBパートの侑の描写と対照的だと思います。Bパート冒頭のシーンでは、侑が6話での回想をしていますが、燈子が侑の好意を受け入れてくれないことを侑の伸ばした手が空を掴む演出で表現されています。沙弥香とは対照的に、侑は燈子の手を握れません。

ベンチで雨宿りをしている時も、手を握りたいという想いに気づいても触れることができません。燈子が侑の好意を明確に拒否したからです。このシーンは息が止まりそうでした。ちなみに、侑が「嬉しかった」といった後、緑の葉から滴が零れ落ちる演出がありますが、これは「緑滴る」という言葉を表現していると思いました。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

この言葉の意味は、若葉などの緑の美しさや鮮やかさがあふれることです。緑の鮮やかさが満ちることは侑に芽生えたきらきらした気持ちを表しているのではないでしょうか。ちなみにBパートで侑が学校の図書室にいる際手に取っていた本のタイトルは『緑滴る』でした。

また、ベンチでの侑が燈子の手を握れないシーンでは、侑の寂しさや燈子に触れたら関係が壊れてしまうという恐怖が手の演出で巧みに表現されています。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

 

侑と沙弥香のバトンパス

侑と沙弥香のバトンパスは、2人の心の距離を示していると思います。Aパートでは、沙弥香と侑のバトンパスが繋がりません。元々沙弥香は燈子に対して好意をもっており、その燈子と侑があまりに親しげなので侑に対して思うところがあったのでしょう。しかし、侑と沙弥香が一緒に放課後を過ごしたことで何かが変わりました。

ファストフード店で、侑と沙弥香は燈子に対する話題で会話しています。お互い相手が燈子に対して特別な意味での好意をもっていると分かっていますが、いまいち本音で話せません。この時点では、侑と沙弥香は足並みがそろっていないと感じます。横断歩道の信号はそんな2人の足並みを示していると思います。会話の途中何回か歩行者信号が描写されますが、途中まですべてです。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

しかし、ファストフード店を出た後の会話で、侑と沙弥香の心の距離が近くになります。侑は燈子についてこう述べます。「それをやり遂げたら…七海先輩はもう演技しなくてよくなるんでしょうか」「先輩は先輩になれるのかな…」この言葉を聞いて、沙弥香と侑は燈子と手をつないだシーンを連想します。

ここでのポイントは、お互いにとって燈子が演じなくなることは少なくとも悪いことではないということです。侑には侑、沙弥香には沙弥香の想いがありますが、燈子が演技をしなくなってほしいという点は共通しています。この共通点が、タイトルにもなっている「交点」なのかもしれません。2人は燈子という同じ人物に好意を抱いていて、どちらかというと気が合いそうですよね。ここで、歩行者信号はに変わります。

ちなみに、偶然かもしれませんが横断歩道を渡る前と後では侑と沙弥香の距離が近くになっているように見えます。この出来事を経て縮まった2人の心の距離を、Bパートのラストではバトンパスが繋がることで表現しているのかもしれません。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

 

降り籠める

考察の最後に、あまり触れることができていないBパートのタイトルについて述べます。降り籠めるとは、雨や雪がしきりに降り家などに閉じ込めることをいいます。確かにBパートでは雨が降り続き、侑は学校に閉じ込められてしまいますね。しかし、降り籠めるとは侑の燈子に対する気持ちにも当てはまると思います。燈子は侑の好意を受け入れず、侑は燈子に対して特別な想いを伝えることができません。この閉じ込められた気持ちは、降り籠めるというタイトルで表現されていると思いました。せっかく特別な気持ちが芽生えたのに、閉じ込められてしまう侑が切ないですね…。

 

感想

8話は様々な解釈ができる魅力はもちろんのこと、沙弥香の照れているシーンや「特別」に気づき始めた侑の描写が最高でした。特に傘の取り合いと「困らないよ」、ベンチでの「嬉しかった」は感無量です。「嬉しかった」という言葉が非常にすんなり侑からでてきて、その気持ちが特別な意味だということには侑自身もあとから気づいたように見えました。今は「いいか、このままでも」と言っている侑ですが、今後どうなっていくのか注目です!

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会 ​

 


以上が8話の考察、感想です。相変わらず一つひとつの場面が濃密かつ繊細で…。制作スタッフの方がすごすぎますね。また他の方の考察記事も様々な解釈がありとても面白いです。スタッフの方やブロガーさんに感謝です。
また、ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!