やが君 考察

やがて君になる (アニメ)の考察ブログです!

やがて君になる OP 考察

この記事は、やがて君になるOP考察です。実際には制作側の意図と全然違うということも多々あると思うので、こういう考え方もあるんだなと感じていただければ幸いです。(※アニメのネタバレ有です!アニメ最新話までの内容を含めて考察するため、視聴がまだの方は先にアニメを観ることを強くお勧めします。)

 

 花言葉について

まず、花言葉について。やが君のOPではたくさんの花が描写されますが、それぞれの花は人物の内面などを表すシンボルとなっています。花言葉に関しては、すでにスパイダースノーマットさんというブロガーさんが調べ上げています。(すごいです…!)

lear.hatenablog.com

そのため、花言葉に関してはスパイダースノーマットさんの記事を参考にさせていただきつつ、自分でも調べています。

 

 紫陽花の描写

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

始めのシーンでは侑と燈子の手に紫陽花の花びらが舞い落ちる描写。侑に落ちたのがピンク、燈子に落ちたのが青色ですね。紫陽花の花言葉は色によって違いがあります。

青色は「あなたは美しいが冷淡だ」「無情」「辛抱強い愛情」

ピンク色は「元気な女性」「強い愛情」

ここで、紫陽花という花について触れておくと、紫陽花は英名でハイドランジアと言い、ラテン語で水の器という意味です。これは水を好むことからついた名称ですが、侑と燈子にとって水は特別な意味を持っている(後述します)ので、紫陽花が描写されているのかもしれません。

 

 教室における人物描写

次のシーンは教室にキャラクターが座っている描写ですが、これでもかというくらいしっかりと人物描写がされています!それも、直接的ではなくキーアイテムによる比喩表現でここまで深く適切に人物を表現していることは天才的だと思いました!個人的にOPの中でも指折りの名演出だと思います。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

コーヒーによる沙弥香の人物描写

2年1組の教室にいる燈子と沙弥香の描写です。机の上や下にあるものが特徴的で、その人物の内面などを表しています。まずは沙弥香から見ていきましょう。沙弥香が手にしているのはコーヒー(ブラック)です。これは私の解釈ですが、コーヒーは苦いものを飲み込んでいる沙弥香を象徴するアイテムです。沙弥香にとっての苦いものとは、燈子に対する好意を我慢することです。沙弥香は燈子に対する自分の好意をはっきり自覚しつつも燈子に伝えることはありません。

沙弥香が好意を伝えない理由は2つあり、1つは燈子に好意を伝えた際に拒否され離れ離れになりたくないという恐れです。そのため、沙弥香は侑とは対照的に燈子に対して一線を越えて踏み込むということはしないスタンスで接していました。2つ目の理由は、燈子が他人の好意を受け入れられる余裕がないと思い、沙弥香に傍にいてほしいという燈子の思いを優先しているからです。このように、侑とは違った優しさを持つ沙弥香は苦い想いを飲み込んでおり、それはコーヒー(ブラック)を飲むことで表されています。ちなみに沙弥香はブラックコーヒー派ですが、大人として振る舞う点や苦いものを飲むという点を踏まえるとしっくりきます。

次に沙弥香の足元にあるものに注目してみます。おそらく折り鶴だと思われます。(少々自信がないのでBlu-rayで確認したいです)折り鶴からは、願い祈りのイメージを連想しました。沙弥香の燈子と結ばれたいという願いの象徴と捉えることもできますね。

 

写真と砂による燈子の人物描写

次に燈子を見ていきましょう。机の上にあるのは写真立てです。アニメを最新話まで観た方はお分かりだと思いますが、燈子にとってとても大切な人の写真です。燈子は過去に縛られている印象があり、姉の代わりになることに固執しています。6話では侑からの呼びかけにも応じなかった程です。そこが冷淡という青紫陽花の花言葉と重なる部分でもあります。

燈子の足元にあるものはだと思われます。これは私の解釈ですが、砂は燈子の渇いた心を表していると思います。燈子は完璧な姉に近づくために理想の自分へとたったひとりで努力してきました。周りからは完璧な人物だと思われていましたが、実際には燈子は大きなプレッシャーや苦悩を隠していました。これらの苦悩によって燈子の心はボロボロになっていたと思います。そして、誰かに頼ったり甘えたりすることができずに枯れていた心を示しているものが砂なのではないでしょうか。

 

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

次のシーンは1年1組の教室にいる朱里、侑、こよみの描写です。燈子達と同じように机の上と下にはキーとなるアイテムがあります。3人それぞれに意味があるのですが、特に侑について言及します。こよみや朱里については後日加筆するかもしれません。

水による侑の人物描写

侑のキーアイテムとしてプラネタリウムが出てきますが、特に水を用いた侑の描写は巧みです!燈子のとの対比となっており、2人の関係を示すものとしても特別な意味を持ちます。

侑の手にしているものは燈子からもらったプラネタリウムです。このプラネタリウムから生み出される星々は、侑にとって特別な輝きです。侑は自分の憧れているキラキラした特別な感情を星々の輝きと重ね合わせています。ただ、侑にとって星とは届かないものであり、キラキラ輝いているのは見えても触れられない存在なんですよね…儚い。

侑の足元にあるものはだと思われます。紫陽花の説明の際に侑と燈子にとって水が特別な意味を持つと言いました。これは私の解釈ですが、水(または海)は侑の心を表しているのかもしれません。1話では、朱里とこよみが自分の知りえない「特別」をごく当たり前に知っており、侑は2人と距離を感じます。その際に孤独感を示す描写としてが用いられました。光が届かない海中で侑が独りぼっちになってしまう演出です。これは、「特別」に憧れているからこそ、憧れで息苦しくなってしまっている侑の内面を描写しているのではないでしょうか。

水の侑と砂の燈子

ここで、侑を水と捉えるのであれば、燈子から見ると侑はとてもありがたい存在だと思います。だれにも頼れない燈子にとって唯一頼れる侑は、砂漠におけるオアシスのような存在ではないでしょうか。

また、侑にとっての水と燈子にとっての水は全く違うものになります。6話以降の侑と燈子の関係で当てはめて考えますが、侑にとって燈子との関係は息苦しいものです。6話時点で侑は心のどこかで燈子が特別な存在だと感じています。しかし、燈子は侑からの好意を望んでいません。一方で、燈子から見れば侑は癒しの存在です。さながらオアシスのような侑によって癒されています。

このように、侑にとって水は息苦しいものであり、対照的に燈子にとって水はオアシスのような癒しになっているのではないでしょうか。こう解釈するとまるで燈子が侑に依存してばかりの印象を受けますが、実際にはここからさらに変化があると思います。燈子が侑を暗い海中から引っ張り出してくれるのか、どうなるのかは分かりませんが…。ちなみに、燈子という名前に触れておくと、「燈」という漢字には灯(ともしび)やあかりという意味があります。もしかすると暗い海中にいる侑にとっての灯(あかり)になってくれるのかもしれません。侑に輝く星を映し出すプラネタリウムをくれたのも燈子でしたね。

 

 こよみと朱里の花言葉

次のシーンはこよみや朱里と花の描写です。花言葉はすでにスパイダースノーマットさんの記事でも紹介されているので、考察は深く掘り下げませんが、OPの記事として花のシーンをスルーしたくなかったので簡単に紹介します。ここの考察に関しては、後日加筆するかもしれません。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

こよみの花は公式Twitterヒメヒマワリと言及されていました。

花言葉「憧れ」「崇拝」「誘惑」です。

 

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

朱里の触っている花はアネモネだと思います。花言葉「儚い恋」。赤いアネモネは情熱的で朱里に合いますね。儚い恋という花言葉も…。髪飾りになっている花は私では初見で分かりませんでしたが、スパイダースノーマットさんの記事ではプリムラ・ポリアンサと紹介されており花言葉も記載されています。

 

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

次は侑がプラネタリウムの星に目を輝かせるシーン。侑にとって、星はキラキラしていて憧れの存在なんですね。(目をキラキラさせてる侑がかわいい) 

 

 コーヒーによる内面描写

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

次は沙弥香のコーヒーの描写。やが君のコーヒーによる内面描写は実に見事なものです。ここでは、燈子の変化に気付いた沙弥香の不安な心の陰りをコーヒーの影や波紋で表現しているのではないでしょうか。コーヒーによる描写はOPだけでなく、特にアニメ本編において素晴らしい演出がなされています。

 

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

次の瞬間、沙弥香の伸ばす手が届くことなく燈子は教室の外へ行ってしまいます。この描写、あまり深く考えたくないのですが沙弥香と燈子は離れ離れになってしまうのでしょうか…?単純に沙弥香が燈子に対して積極的になれないことを表現していると願っています(笑)。

 


サビでの圧倒的空間演出

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

サビのシーンです。なんといっても圧倒的空間描写ですね!OPだけで泣ける作品といって全く差し支えないと思います!

花はですね、花言葉「優しさ」「恋に酔う」

スパイダースノーマットさんも指摘されていますが、藤は4月5日生まれの侑の誕生花でもあります。

ここで侑という名前に触れておきますが、侑という字には人を助けるという意味があります。優しくて人をほっとけない侑にぴったりの名前ですね!藤の花言葉にもしっくりきます。
侑の足元には折り鶴ですね。水は侑を表す重要なシンボルです。折り鶴には願い祈りといったイメージがありますね。侑の「特別」といった憧れへの強い願いを表現しているように思います。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

次のシーンでは侑が花を用いて顔を隠すように覆います。これは、本当の自分(本心)を見せないということを表現しているのかもしれません。自信はないですが、白い薔薇のような花がありますね。白薔薇花言葉「私はあなたにふさわしい」「約束を守る」など。

 

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

次の描写は燈子です。花については自信がないのですが白い色と黒い色があり、それぞれ白百合と黒百合でしょうか。白百合の花言葉「純粋」「無垢」「威厳」。黒百合は「恋」「呪い」「復讐」
足元にあるのはですね。心が渇いている燈子の内面を示しているのではないでしょうか。よく見てみると燈子の足には砂がかかっています。また、廊下の左側はほぼ砂になっていますね。おそらく意図的な描写だと思います。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

次のシーンは侑の時と同じように花で顔を隠します。これも侑と同様本心を見せないということを表現しているのではないでしょうか。ただ、よく見ると侑と違う花になっていますね。赤い薔薇ピンクの薔薇(自信はありません)があり、侑より赤い花が多いです。赤い薔薇花言葉「愛情」「情熱」「美」「あなたを愛します」ピンクの薔薇は「しとやか」「上品」「感謝」「温かい心」など。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

終盤のシーンですね。冒頭の紫陽花の花びらが落ちる構図と同じですが、水面に浮かぶ紫陽花が幻想的です。

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

次のシーンでは、侑と燈子の顔に仮面がそして蔦が描写されます。仮面はおそらくお互い本心を見せないということを表現していると思われます。または、周囲の人に二人の関係を秘密にするという意味で捉えることもできるかもしれません。スパイダースノーマットさんの記事を見て知ったのですが(感謝です)、蔦にも花言葉があり「永遠の愛」「死んでも離さない」だそうです…。

 
水中に輝く星、侑と燈子の出会い

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©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

最後のシーンです。侑と燈子の姿は消え、二人が居た場所には花があります。侑の場所にあるのがハナミズキ(花水木)、燈子の位置にあるのがモッコウバラ(仲谷先生のツイートで判明)です。ハナミズキ花言葉「私の想いを受け止めてください」「永続性」「華やかな恋」など。西洋の花言葉には「Am I indifferent to you?(私があなたに関心がないとでも?)」というものもあります。モッコウバラ(木香薔薇)の花言葉は、「純潔」「初恋」「幼い頃の幸せな時間」などです。どちらの花言葉もしっくりきすぎて怖いくらいですね(笑)。
最後のシーンでは水面がありますが、水の中には星々が輝いています。この星空の中心にあるのはおそらく天の川ではないでしょうか。ハナミズキモッコウバラ織姫と彦星に対応しているのかもしれません。また、水中なので星に見えるのは砂なのかもしれません。だとすると、侑(水)と燈子(砂)が出会って水面に星が現れたのだと思います。そう考えると、侑にとって手が届かない存在だった星が、燈子との出会いによって手の届く存在になった、と捉えることもできるのではないでしょうか。制作者の方の意図とは違うかもしれませんが、そうであったなら素敵ですね。

 

以上がOP考察になります。やが君は観るごとに新しい発見があるので、今後加筆するかもしれません。

本当に毎週が楽しみな作品です。原作者の仲谷先生やアニメ制作スタッフの方々に感謝です。

また、記事を長々と読んで下さった方、ありがとうございました!